【問題】鉄剤と鉄剤注射|どっちの方が良い?
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どうも♪たむ(@tam_tamco25)です^^
「鉄剤注射」を知っていますか?
よかったら、まずはこのニュースを思い出していただきたいです。
2018年12月19日なので、まだ記憶がある人もいるのではないでしょうか?
使用が後絶たぬ鉄剤注射、「治療名目」も禁止へ
高校駅伝の一部強豪校による鉄剤注射の不適切使用問題で、日本陸上競技連盟(陸連)は、貧血治療名目の鉄剤注射の使用を原則禁止とする方針を固めた。これまで鉄剤注射を使わないよう警告にとどめてきたが、注射の使用が後を絶たないためだ。年度内に指針としてまとめ、中学生から社会人までの陸上選手、指導者に周知する考えだ。
引用:YOMIURI ONLINE、2018年12月19日(https://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20181219-OYT1T50006.html)
この記事は、陸上選手に対して「治療であっても鉄剤注射は禁止だかんね!」というニュースです。
ここで、こう思いますよね。
どうして陸上をしていたら、治療でも鉄剤注射をしてはいけないの?
この記事では、治療にも選択肢としてある「鉄剤注射」はどんなものなのか。薬やサプリメントとして服用する「鉄」とは何が違うのか。についてまとめていきます!
これがわかると、貧血になった時に飲む、鉄剤やサプリメントについても考え方が変わることもあると思います。
そんなきっかけになれたら嬉しいです^^
鉄剤とサプリの違いを比べた記事はこちら♪
鉄剤とは?
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鉄剤は、病院で処方される、植物由来の鉄分100mg配合の錠剤です。
フェロミアやフェログラデゥメットなどがあります。
副作用は、便秘や嘔気などの胃腸障害がメインです。
鉄欠乏貧血(鉄分少ないだけが原因の貧血)に対して第一選択薬です。
錠剤なので、「口から飲み込むタイプ」のお薬な訳なのですが、
食事もサプリメントも、身体の中への取り込み方はこんな感じ。
1日に平均15~20MGの鉄を食べ物からとっているといわれています。胃に入った鉄は、胃酸で吸収されやすい形になって、十二指腸で1日わずか1MGしか吸収されません。
引用:愛知県薬剤師会、7.貧血(鉄欠乏性貧血)、https://www.apha.jp/medicine_room/entry-3544.html
このように、口から入った鉄分のうち、身体の中にしっかり吸収されるものはごくわずかです。
吸収されなかった鉄分は、便として排出されます。
もちろん食事もサプリメントもそうです。
つまり、このように⬇︎考えることができます!!!
鉄剤を1錠(鉄分100mg)を服用して、身体に吸収してもらえるのは6.7mgほど。。(1/15で計算)
食事摂取基準(2015年)の鉄の1日の推奨量は以下です。
・成人女性10.5~11.0mg(月経あり)
・妊娠前期では8.5~9.0mg
・妊娠後期では21~21.5mg
・授乳期では8.5~9.0mg
鉄剤だけじゃ推奨量には届きません!
プラスして、胃腸の調子やビタミン・タンパク質などの栄養素が鉄分の吸収率を左右しているので、もっと少ない吸収率だという人もいます。
鉄分を服用することで、簡単に補えると思いますか?
元々鉄不足の女子が、鉄分の量を上げることは、なかなかに難易度がありそうですよね。
鉄剤注射とは?
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鉄剤注射は、病院で医師によってなされる治療の1つです。
40〜120mgを2分以上かけて徐々に静脈内注射します。
フェリジン静注40mgなどがあります。
参考:フェリジン静注40mg(https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3222400A1058_1_03)
副作用はあまりないです。
通常は鉄剤を飲んでも改善がない人(胃腸の吸収能力が低い人)や、鉄剤の副作用がひどい人が最終手段として選択するものです。
注射なので、「血管に直接入れるタイプの薬剤」ですよね。
1度注射すると、全ての鉄が身体の中に入ります。
なので、40mg鉄剤注射を行えば、40mgの鉄分が身体に入ります。
鉄分をすぐに身体の中に入れ込み、鉄不足の状態を改善することができます。
鉄分を注射することで、簡単に補えると思いますか?
当然そうですよね。すぐに鉄分の数値がぐんとよくなります。
鉄剤と鉄剤注射の違い
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少し広い視野で考えてみてください^^
(「鉄剤」と「鉄剤注射」を少し遠くから見比べている感じ。)
鉄剤と鉄剤注射を比べる上で1番注目したいのが、「鉄過剰」の問題と危険です。
身体に鉄分か過剰になってしまった時、体内の臓器を攻撃してしまい、肝臓・心臓・腎臓などの臓器が機能しなくなってしまいます。
肝障害の場合フェリチン値 1,000 ng/ml以上がリスクファクターであることが示されている
引用:日本内科学会雑誌、平成22年6月10日(https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/99/6/99_1233/_pdf)
鉄過剰について、より詳しくまとめた記事はこちら♪
『鉄剤は鉄分を増やしにくそう。』
『鉄剤注射はすぐに鉄分増やせそう。』
なので、
「鉄剤」は、副作用の兼ね合いさえクリアすれば、鉄過剰のリスクが少ないです。
「鉄剤注射」は身体のフィルター(胃腸に吸収される過程)がない分、鉄過剰になってしまう危険があります!
BUT(最初にお話した陸上選手のお話に戻ります。)
陸上選手などのアスリートは運動する分、汗やトレーニングによって消化管から微量の出血が起きたりするので、普通の女子よりもたくさん鉄分が必要です。
その量は一般人の1日推奨摂取量の1.5〜2倍が目標量となるので、
月経分加算したら鉄分を(標準値)11mg✖️2➕α=約 22+α mgは毎日摂らないといけないということになります。
牛ひき肉なら約957g。豚レバーなら約169g。ほうれん草なら約2444g。これ以上食べないと到達しません。
参考:簡単!!栄養andカロリー計算、鉄(https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/iron.html)
ちょっと毎日は辛くないですか?
(妊娠後期の妊婦さんも、このくらいの量が必要なんですが、とっても大変そう・・)
さらに、最近の女子は、生理の難易度が急上昇中です。
「生理」の難易度が上がっている!?|「生理」を止める方法と改善策
そりゃあ、貧血になる選手も多いだろうし、鉄剤注射すると元気になるはずです!
「鉄過剰」はもちろん危険で問題なのですが、中にはこのような考えをもつ医師もいます。
私は、一連の記事を読んで暗澹たる気持ちとなった。世界の潮流とは正反対の対応だからだ。世界では、鉄不足だが貧血ではない人にどう対応するかについて、議論が盛り上がっている。鉄剤を補充することを勧めるのが趨勢だ。
もちろん、過剰な鉄投与は避けなければならない。ただ、内科医としての個人的な経験から言うと、鉄剤の注射を毎週行ったくらいで、肝障害などの副作用が出るとは考えにくい。
『読売』が問題とするような「鉄剤の注射のしすぎで肝障害が生じた高校生」は本当に実在するのだろうか。
引用:HUFFPOST、貧血対策が足りない! 「鉄不足大国ニッポン」の実態 食事の工夫や、低用量ピルの服用など、まだまだ教育が行き渡っていないのではないか。、2019/7/9(https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d242362e4b07e698c3fe8c9)
鉄剤注射してよいんじゃない???
世界的には、鉄分はどしどし補充する流れになってますよ???
というお話もあります。
あなたはどんな考えを持ちますか?
鉄剤注射は、打たない方が良いと思いますか?
まとめ
ここまで、鉄剤と鉄剤注射の違いについて、まとめてきました。
みなさんは、どう思いますか?
・鉄剤は、「口から飲み込むタイプのお薬」です。副作用は胃腸障害。
・口から入った鉄分は、胃腸のフィルターにかけられ、いらない分は便として排出されます。
・鉄剤注射は、「血管に直接入れるタイプの薬剤」です。副作用はあまりないです。
・入れた鉄分はダイレクトに身体に入ります。
・鉄剤注射は鉄過剰の危険と隣り合わせですが、鉄剤は胃腸のフィルター分リスクが低いです。
・でも、貧血になった人よりも、鉄過剰になった人を見ることが多いですか?
この記事では、ちょっと考えていただくところも多かったです。すみません💦
もちろん、中には鉄過剰となる方もいらっしゃいますので、そのことについてはご了承ください。
でも、少しでも「貧血」や「鉄不足」について、考えたり疑問に思う女子が生まれたら、私としては嬉しい限りです。(もちろん男子も。)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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